3月に仕事が変わりました。
覚悟していたとはいえ、この変化はなかなかしんどい。
仕事が変わると、出社時間はもちろん通勤手段も変わるわけで。
想像をしていなかった、微々たる変化が疲労を蓄積させます。
そんなアラフィフ独り身が、ささやかな休日に『銀竜草』を見て癒された話です。
『銀竜草』。
なんだかレアな響きを持つ名前です。
ゲームの世界に、出てきそうな名前。
こんな植物が、身近にあるのです。
引用元に「日本全国に分布」と書かれているとおり、中年おひとり様が生活する中部地方では、割と目にします。
この植物が芽吹く6月は、山菜シーズンと重なります。ですので、山菜狩りに山へ行くと遭遇するわけです。
今年は、春先の気候が暖かく。
そのため、山菜も例年より二週間早いと言われていました。
写真のチシマササは、地方によっては根曲竹とも呼ばれています。
名前のとおり、竹の味。
山歩きの最中に、見つけると晩酌用に採取したくなります。
焼いたり天ぷらにしたり、味噌汁の具にしたり。
味は竹とトウモロコシの中間のような、優しい甘み。
私は、この山菜が大好きでして。
休日にトレッキングがてら採取し持ち帰り、この天ぷらを肴にビールを飲むのです。
トレッキングという名の運動。これが免罪符。
そして、自ら探し手に入れた無料の食材。
普段は貧相な食卓が、質素なるも満ち足りた食卓になるわけで。
ところが、今年は休日をとるのが難しく。
大好きな、チシマササを採りに行く時間がありません。
そんな、ある日の休日。
ストレス発散目的でトレッキングに出かけたのでした。
誰もいない登山道を一人進みます。
降雨なるも、樹々に遮られ濡れずに歩きます。
歩き始めは熊との遭遇に怯えましたが、所々に見える風景に見惚れ、恐怖心は薄れていきます。
一人、黙々と。
惹かれる景色に出会えば、写真を撮り一服。
一人に慣れていますので、マイペースが心地良い。
ただ、歩くだけです。
日頃の運動不足もあり、少し息があがります。
そんな時に立ち止まり、深呼吸。
カエルや蛇なんかにビクついたり。
どちらも警戒心が強いらしく、物音を立てながら立ち去ります。
普段、両生類を見かけることがないためか、ついつい写真を撮ってしまいます。
しかも、追いかけて。
こんな時、熊の恐怖も疲れも、明日からの仕事も忘れてる。
幸せなのでしょう。
そんな山道を進むと、白く透き通った植物に出会いました。
銀竜草です。
食べられる物ではない。(食べたことないだけ)
触った感じは、見た目よりも芯がある感じ。折れることなく、しなります。
群れていたり、単独で生えていたり。
不思議な植物と出会うと、撮影まっしぐら。
歩いては見つけ、撮影。
自分にとって、一番綺麗な銀竜草はどれだろうか?なんて考えながら。
明日からは、また仕事。
どうせ、時間が過ぎるのなら楽しもうと。
夢中で歩き、観察しました。
長いようで短い一週間。
少しは息抜きができたかな。
溜息ながらも乗り切ります。